浜松の税理士 坂本&パートナー TOP > 事務所案内 > Dailyコラム > Dailyコラム2018年4月~2019年9月
●災害救助法が適用される災害支援
この法は、被災された方の状況が著しく困難でかつ多数の世帯の住居が滅失した状態の被災地に都道府県が適用し、自衛隊や日本赤十字に応急的な救助の要請、調整、費用負担を行うとともに被災者の救助や保護の活動を行う事を定めています。
中小企業向けには、
(1)特別相談窓口の設置
(2)災害復旧貸付の実施
(3)セーフティネット保証4号実施(突発的災害が原因の売上げ減少による融資申請)
(4)既往債務の返済条件緩和
(5)小規模企業共済災害時貸付の適用
さらに激甚災害法に基づき指定されると上記支援策の他に、
(1)災害関係保証(特例)の実施
(2)政府系金融機関の災害復旧貸付の金利引き下げが行われます。
●保険と共済の適用
経済産業省が今年の3月に公表した資料によると、中小企業に対する国の支援策は事業者による自助を前提とはするものの、平成28年度の台風10号、平成29年度の九州北部豪雨の被災事業者へのヒアリング結果から、各種災害と保険対象の補償を組み合わせた総合保険や休業補償にかかる商品を活用して損害をカバーしたケースをあげています。保険商品の多様化で細かいニーズに応える事が可能になっているとはいえ、活用のためには事業者も保険商品の内容の理解が必要としています。
地震や気候の変化にも事業活動を継続していけるよう対策を進めておくことが必要であるとしていますが、上記資料によれば、平成28年3月時点では中小企業のBCP(事業継続計画)策定済み企業は15%に留まっているという事です。
●柔軟な働き方と副業・兼業の促進
昨年10~12月にかけて実施された厚生労働省の「柔軟な働き方に関する検討会」では、テレワークや副業・兼業といった柔軟な働き方について、その実態や課題の把握及びガイドラインの策定等に向けた検討が行われました。また、今年1月には「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が作成され、モデル就業規則も改定されました。副業を容認している企業はまだ少なく、一般的なものとはなっていませんが、今後は多様な働き方が認められていくことと思われます。
●給与と源泉徴収
会社や個人が、人を雇って給与を支払った場合には、その支払の都度、支払金額に応じた所得税及び復興特別所得税を差し引いて国に納めなければなりません。この所得税及び復興特別所得税を差し引いて、国に納める義務のある者を源泉徴収義務者といいます。
源泉徴収義務者は、所得税及び復興特別所得税を源泉徴収税額表に基づいて計算します。源泉徴収税額表は甲欄、乙欄、丙欄の3つに分かれており、正社員などに支給する主たる給与の支払者からの給与の源泉所得税は、甲欄を適用して計算します。
●副業の給与の源泉徴収
甲欄が適用できるのは扶養控除等申告書を提出した主たる給与のみですので、副業の給与は乙欄で課税しなければなりません。乙欄は扶養控除などが認められませんので、甲欄に比べ税率が高くなっています。
月給で支払う場合は月額表の乙欄を、日給で支払う場合は日額表乙欄を適用します。
●副業の給与収入がある人の確定申告
副業の給与収入がある人は、その収入金額と給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超えた場合、確定申告が必要です。一方、それらの合計額が20万円以下の場合、確定申告は不要です。しかし、確定申告をすることで税金が還付になるケースもありますので、有利な方を選択すると良いでしょう。
●従業員研修を実施する企業が増加
東京商工会議所が2017年度研修費用の前年との比較について、研修講座を利用した1000の企業に対して調査を行った結果を発表しています。
(有効回答260件26%)
それによると前年度比について約4割の企業が「増加」と答えました。
2018年度研修予算の前年度比についても「変わらない」(50.0%)、「増加」(28.9%)と回答が続き、「減少」と答えた企業は5.1%でした。
今年度も引き続き社内外研修を増やしていく傾向が見られます。
●どんな研修を実施しているか
今後研修を実施する階層は「中堅社員」(67.2%)、若手社員(66.4%)、新入社員(60.5%)が上位に入っています。分野については「指導・育成」(58.5%)「コミュニケーションスキル」(44.3%)が続きます。
新入社員研修ばかりでなく若手や中堅社員に対しても教える立場の指導力向上のための研修も多く実施されています。
受講研修の選択方法では複数回答で「会社が指定」(61.8%)「受講者の上司が指定」(44.4%)と会社や上司が決めた研修を受けさせる所が多いものの、一定の選択肢の中から「受講者本人が選択」(31.3%)
「受講者本人が自由に選択」(29.0%)とする企業も約半数あります。
受講者本人に何らかの形で研修の選択権を与えている企業も少なくない事が分かります。
●人手不足対応と人材育成
人手不足の対応として人材育成に力を入れる企業が増えています。
既存社員のスキルアップやモチベーションアップを図り、経験や技術力を育てる事で、人手不足にも対応していこうとしています。
経験や技術を持った人材の採用がだんだん難しくなってきているという事もあります。
そのような中、企業内で社員を育て上げる視点が広まってきているので今後も社内外の研修の必要性は高まっていくでしょう。
●適用される大きな柱は3つ
(1)働き方に最も大きな影響を与えるのは日本の労働法制で初めて導入される残業時間の上限規制です。労働基準法では労働時間は原則1日8時間・週40時間となっていますが、労使協定を結べば残業時間を無制限に設定できるのが実態でした。現在目安時間である「月45時間、年間360時間」が法制化され2~6か月平均で80時間以内、単月で100時間未満に抑え月45時間を超してよいのは年6回までです。(2020年4月)
(2)脱時間給的働き方は年収1075万円以上の金融のディラーやコンサルタント、アナリスト等を対象に残業代や休日手当の支給対象外とします。(2019年4月)
(3)非正規労働者の処遇を改善する措置では正規と非正規の不合理な待遇差があることを禁じ、「同一労働、同一賃金」の実現を目指します。勤続年数や能力、仕事が同じなら原則、同じ基本給にする等賃金体系の見直しが必要になるかもしれません。(2021年4月)
●その他の働き方改革関連法(2019年4月)
(1)勤務間インターバルの努力義務…退社から出社までに一定時間の休息を確保
(2)年次有給休暇の取得義務…年に5日は有給休暇を消化させなければならない
(3)労働時間の把握義務…事業所に働く人の労働時間を客観的に把握する必要
(4)フレックスタイム制の拡大…労働時間を1か月から3か月単位で調整可能に
(5)中小企業の割増賃金は残業月60時間超えで割増率を50%以上に(2023年4月)
●経済財政運営と改革の基本方針
政府は人手不足対策として、外国人材の受け入れを拡大する為、新たな在留資格を創設する方針の原案をまとめました。現在単純労働の分野で外国人の就業を原則禁止していますが、医師や弁護士等高度な専門性を持っている人材は積極的に受け入れ家族の帯同も認めています。今回の原案による新たな在留資格の対象は、人手の確保が難しい業種の存続、発展の為に外国人材が必要と認められる業種(農業、介護、建設、宿泊、造船)の5分野を想定しています。
●最長で10年の就労が可能に
日本では約128万人の外国人が働いています。内訳は(1)永住者や日本人と結婚した人(2)留学生のアルバイト(3)技能実習生(4)専門性の高い技術者、研究者等です。
今回は技能実習生の在留期間を3年から5年に延長、さらに10年の就労も可能にする事を想定しています。技能実習生は現在25万8千人で5年前の5倍に膨らんでいます。政府は秋の臨時国会に出入国管理法改正案を提出し来年4月からの導入を目指しています。
技能実習生は1993年に始まった制度で本来途上国への技術指導が目的でした。
日本での就労期間が延びるほど、身に付けた技術を母国で活かす機会が遠のきます。本来の実習生の趣旨は考慮されてはいるでしょうが今後の法の動きが注目されます。
●今後の方向性
今回の方針では新資格を得た人が日本語や専門分野の試験に合格すれば、在留期間の上限を撤廃し、家族の帯同を認める案も上がっているという事です。一方で今回の案が技能実習制度を骨抜きにし、事実上の移民政策に繋がるのではという懸念の声も聞こえるそうです。
法務省では「在留管理インテリジェンス・センター」(仮称)を設けて雇用・婚姻等の情報を一元化し、不法就労を防ぐとしています。外国人労働者の離職、転職等を雇用保険を所轄する厚労省との情報共有、婚姻、離婚等の情報は自治体との連携を進めるとの事です。
また、外国人留学生の勤務先や勤務時間の管理を強化し、1週当たり28時間の勤務時間を超えると在留資格を取り消す方針だという事です。
挑戦的で前向きな計画や行動を、「不利益のリスクがあるからという理由で避けようとする経営体質は、それが、トップから社員に至るまでの意識・行動の主流となった時の経営損失は測り知れません。
前向きな挑戦による失敗が許容されず、損失の責任が追及される企業風土の中では新しい挑戦は生まれず、無事で無難な、「石橋を叩いても渡らない」事業の進め方が定着し、「リスクを知りながら、その対価としての利益の獲得にあえて挑戦する」考え方・行動は否定され、したがって、大きな機会損失を招くことに繋がりかねないからです。
保守的・防衛的な考え方・行動には、「大きなリスクの裏には、大きな利益獲得の機会がある」ことを見逃す、より大きな機会損失のリスクが存在することに留意しなければなりません。
●リスクの捉え方
「リスクの大きさは、利益の大きさに反比例する。リスクがあるから利益が存在するのだ」という捉え方は、基本的に正しい、と言えましょう。
その上で、リスクを的確に評価して、その不利益を最小化する手を打ちつつ、利益の最大化に挑戦すべきです。
一方、企業や人の欲望につけこんだ「ねずみ講」のような、不正なビジネスが往々にしてまかり通る世の中ですから、「甘い話には嘘がある」という見方は、取り返しがつかない誤りを避けるために不可欠であることは、言うまでもありません。
●リスクを恐れない企業文化の形成
「大きなリスクには、大きな利益獲得の機会がある」という見方や挑戦的行動は、目標管理など社内のあらゆる事業活動で実践されてこそ、事業の発展に結びつきます。
それには、トップが指針を示し、管理者が日常のマネジメントにおいて、常に自らと部下に求めることが欠かせません。
目標管理の運用プロセスでは、「リスクと利益」を評価しなければならない多くのケースが生じます。
そのような機会を捉えて「リスクの前向きな捉え方」を推奨し、対処の仕方の経験を積ませること、リスクに対する前向きな挑戦には、マイナス評価を与えないこと」、そのような積み重ねが「リスクを恐れない、挑戦的な企業文化」を育てることになるのは、疑いのないことです。
●計画の認定を受けられる中小企業者は
計画認定から3~5年間で、直近の事業年度末と比較して労働生産性を9%以上(年平均3%以上)向上させることを要件としています。また、先端設備の種類は生産、販売活動に直接利用される新たな設備で機械装置、測定工具や検査工具、器具備品、建物付属設備、ソフトウェアに限定されています。中古設備は今計画の対象となりません。
●この計画の認定を受けるメリットは
固定資産税の課税標準を3年間0~1/2(各市区町村の条例により割合が変わってきます)に軽減できることにあります。例えば一億円の機械装置(法定耐用年数10年)であれば最初の3年間の固定資産税額は300万円程度になるのですが、固定資産税が最大0に軽減されます。また、この計画の認定は、ものづくり補助金の加点項目でもあるため、ものづくり補助金が採択される確率も上がります。
●計画認定までの流れは下記の通りです
(1)先端設備等導入計画の策定
(2)経営革新等支援機関に事前確認依頼し、確認書を発行してもらう
(3)市区町村に計画を申請
(4)市区町村より計画認定
(5)設備の取得
●取りあえず作成という手も
(5)の「設備の取得」は先端設備等導入計画が市区町村に認定された後におこなえば良いので、認定されなかった場合は見送ることもできます。
●両立支援等助成金(育児休業等支援)
職場にこれから出産予定の方がいる場合に申請すると受給できる助成金です。
出産後3ヶ月以上育児休業を取得すると「育児休業取得時」と元の職場に復帰して6カ月経過後「職場復帰時」の助成金を申請できます。また、育児休業取得者の代わりとして社員を雇用すると「代替要員確保時」の助成金を受給できます。
出産後も退職せずに育児休業を取得する方が一般的になってきています。
特に20代から30代の女性社員を雇用している事業主は申請できる可能性が高いものです。
●必要となる社内環境整備
産前休業に入る前に「育児復帰支援プラン」を作成し、平成29年10月の法改正に準拠した育児休業規定の制定、社内での周知等育児休業を取得しやすい職場環境を整備する必要があります。
手続上の注意点は「育児復帰支援プラン」の作成は事前に計画書提出は無いのですが、産前休業に入る前に育児休業取得者と事業所とで育児復帰支援プランについて話し合わなくてはなりません。
プランの日付けが時系列的に合っていなくてはなりません。また、「一般事業主行動計画」を労働局へ提出します。さらに「両立支援のひろば」のサイトに開示しなければなりません。
助成金の申請は「育休取得時」は、出産後3カ月経過した日の翌日から2カ月以内に申請します。「職場復帰時」の申請は復帰後6カ月経過後の翌日から2カ月以内です。申請し忘れをしやすいので注意が必要です。特に職場復帰が予定より早まった時は申請時期を失念せぬよう気をつけましょう。
●助成金額
・「育児休業取得時」……28.5万円(生産性要件付与で36万円)
・「職場復帰時」……28.5万円(生産性要件を付与で36万円)
・「代替要員確保時」……育児休業1人につき47.5万円(生産性要件付与で60万円)。育児休業取得者が有期契約労働者の場合、9.5万円(生産性要件付与で12万円)の加算有。1企業で正社員1名、有期契約社員1名の2名が取得できます。1企業1年当たり10名まで対象になります。
●トライアル雇用助成金(一般トライアル)
採用に関する助成金の中でも申請件数の多いのがトライアル雇用助成金(一般トライアルコース)です。
概要は実務経験や能力の不足等の理由で就職が難しい求職者を、常用雇用へ移行する事を前提として最初に有期雇用契約社員として3カ月間試行(トライアル)採用します。
その間面接や筆記試験でははっきりしない本人の適性や能力をじっくり確認した上で常用雇用するか否かを判断します。
常用雇用に適さないと判断した場合は最長3カ月で契約期間満了として雇用を更新しない事もできます。
厚生労働省によると試行採用した求職者の約8割が常用雇用に移行しています。
●対象となる事業所・求職者は
事前にハローワーク等にトライアル求人を申し込み、ハローワーク等の紹介により対象者を雇い入れた雇用保険に加入している事業所です。
求職者は次のいずれかの要件を満たし、トライアル雇用を希望した方です。
(1)紹介日時点で就労経験のない職業に就く事を希望する
(2)紹介日時点で、学校卒業後3年以内で卒業後安定した職に就いていない
(3)紹介日の前日から過去2年以内に2回以上、離職や転職を繰り返している
(4)紹介日の前日時点で離職している期間が1年を超えている
(5)妊娠、出産、育児を理由に離職し、紹介日の前日時点で安定した職業に就いていない期間が1年を超えている
(6)母子家庭の母、父子家庭の父等、就職支援で特別な配慮を要する
●助成金額と申請時期
対象者1人当たり月額最大4万円、最長3カ月で最大12万円が支給されます。
トライアル求人をした時は雇用開始日から2週間以内に「実施計画書」を提出しておき、有期雇用終了後、2カ月以内に助成金の支給申請をします。
また、正規雇用に至らずとも受給はできます。
●教育訓練給付金はスキルアップの為の制度
教育訓練給付金は雇用保険に加入している働く人が職業能力を高める費用の一部を補填される制度です。資格講座や専門学校の費用として受給できるものですが、いくらくらい支給されるのでしょうか。
教育訓練給付金は語学やパソコンなど幅広い講座が対象の「一般教育訓練給付金」と看護師、社会福祉士等専門的な資格を目指す「専門実践教育訓練給付金」とがあります。専門実践教育訓練給付金は2018年1月から給付が10%上がり、費用の50%、年間40万円まで受給できるようになりました。支給期間は最長3年で、一旦自分で立替え、半年ごとに受け取ります。専門資格を取得すると費用の20%が上乗せされます。年間56万円が上限です。退職し、昼間の専門学校に通う45歳未満の方は雇用保険の基本手当が終了した後に受け取れる「教育訓練支援給付金」も50%から80%にアップされました。また、一般教育訓練給付金の給付率は費用の20%、10万円が上限で、受講終了日の翌日から1カ月以内にハローワークに申請します。
●主婦や高齢者にも幅広く対象に
65歳以上の高年齢者は2017年1月より現役世代と同じ教育訓練給付金の対象者となっています。所定労働時間が週20時間以上で31日以上雇用される見込みがあれば雇用保険に入る事ができるようになったからです。同じ会社で継続雇用され65歳になった人も65歳以上で再就職をした人も対象になります。
また、2018年1月からは出産、育児、病気療養で雇用保険の受給延長をしていた人の延長期間は最長4年であったものが20年に延長されました。教育訓練給付金を受けられる人が会社を辞めて1年の間に妊娠、出産、育児で教育訓練が受けられず、その子供が現在18歳未満である時には受けられるようになりました。ですから極端に言うと1998年に退職した人も条件が合えば対象となるかもしれません。
●給付金受給の手続き
始めて給付金を受ける時には雇用保険の加入期間が専門実践教育訓練給付金は2年以上、一般教育訓練給付金は1年以上必要です。今働いているか、退職後1年以内の人が受給できます。2回目以降は加入期間が3年以上必要で申請にはハローワークに被保険者証を持参しましょう。
●厚生年金加入者の増加
人生100年時代に備えて将来の年金額を増やす為、厚生年金に積極的に加入したり、年金の受給開始時期を繰り下げたりする人が増えているそうです。特に厚生年金の加入は国の予想を上回るペースであり、税制優遇措置の大きい個人型確定拠出年金(イデコ)の加入者も拡大しています。終身受けられインフレにも一定の対応がある公的年金を、長寿社会に向けた備えとして自ら上乗せを検討する人が増えています。
2016年秋に年金制度が改正され501人以上の企業で週20時間以上勤務するパート等が厚生年金の加入対象者となりました。保険料負担を嫌って短時間勤務を選ぶ人が多いとみていた厚労省社会保障審議会は加入者の増加数に驚いたそうです新規加入者25万人の予想を上回り、昨年末時点で1.5倍の37万人が新たに加入したからです。
労働政策研究・研修機構の調査でもこの改正で働き方を変えた人の58%が手取りを減らさないよう時間延長をした上で厚生年金の加入を選んだと言う事です。
●60歳以降の働き方も変化
60歳以降で60代前半の男性の就業者に占める厚生年金の加入率は、平成12年度の51%から16年度は67%となり60歳代後半も同35%から41%へと上昇しています再雇用制度もあり定年後も働き続ける人は年々増えていますが「年金を増やせる働き方」を選ぶ人が増えています。企業には負担が増えますが、人手不足の中、人材確保の為に希望すれば受け入れる企業も増えています。
●公的年金の繰り下げ支給
公的年金は原則65歳から受給できますが、70歳まで受給を遅らせると42%増額されます。平成16年度では新たに基礎年金の受給権を得た人の2.7%が繰り下げを選択、2年前の2倍弱となっています。しかし繰り下げ受給には60歳代後半を乗り切る資産や収入源等の準備も必要でしょう。
また、長期資産形成にはイデコも選択肢の一つです。掛け金を預貯金や投資信託で運用し掛け金は所得控除、運用益は非課税です。今年3月末の加入者は約85万人と16年末の2.8倍になっています。今までは個人からの掛け金拠出だけでしたが、この5月から社員100人以下企業の事業主は上乗せする事もできるようになりました。
●住民税決定通知書で確認すべき項目
5月中旬から6月上旬にかけ、各自治体から、住民税の特別徴収義務者である雇用主宛に「住民税の税額決定・納税通知書」が届きます。
給与所得者である各個人には、「納税義務者用」の明細が手渡されます。
受け取った際には、毎月の控除額を確認するだけではなく、計算に間違いがないか確認することをお勧めします。
会社が提出した給与支払報告書に間違いの原因があった場合もありますし、自治体での計算時のミスがあるかもしれないからです。
確認すべき項目は、各人の事情で違いますが、前年中に転職した人であれば全部の給与収入が反映されているか、結婚や出産などで扶養家族に増減があった場合にはそれがきちんと反映されているか等々です。
●ふるさと納税は限度額以内だった?
扶養家族数の間違いなどは、会社か自治体の手違いですから、修正してもらえばそれで終了です。一方で、確定した結果が自分の予想と違っていた場合に考え直さなければならない項目があります。
ふるさと納税の寄附金控除額です。
ワンストップ特例制度を使っている方は、すべての寄附金控除が住民税で行われますので、「住民税の税額決定・納税通知書」に記載されている「寄附金控除額+2千円」が自分の寄附総額と合致していればOKです。
6自治体以上への寄附で自身が確定申告した方は、「確定申告書で控除された寄附金控除+住民税での寄附金控除額+2千円」が自分の寄附総額と合っていればOKです。
●ふるさと納税寄附金限度額の検証方法
上記のチェックで納め過ぎがなかったかどうかの確認はできますが、もっと寄附できたかどうかは次の方法で確認できます。
「住民税の税額決定・納税通知書」の税額欄に「所得割額」という項目があります。市(区)民税と県(都)民税を合計します。
控除限度額=所得割額×20%÷(90%-所得税限界税率※)/100%+2,000円
※所得税限界税率とは、所得税計算の最高税率に復興特別所得税(2.1%)を上乗せした数字です。
自分の所得税率は、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」から「所得控除額の合計額」を差引いた額により所得税の税率等で確認できます。
国税庁サイト:
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm
●松竹梅で竹を選んでしまう心理
私達が普段店で寿司、うな重等を選ぶ際に「松竹梅」とか「並、上、特上」と言ったランク付けをしているものがあります。商品が3つあると7~8割の人が真ん中の「上」を選択するそうです。仮に並みが1000円、上が2000円、特上が3000円として相対的に「特上」はちょっと高いけど「上」の値段はほどほどで質は悪くないだろうと言う心理が働くのだそうです。店側では「上」の収益率を高く設定したりします。
もし一番売りたいのが「特上」だとすればどうするか? 値段中身は変えず「特上」を「上」に変え、「元上」は「並」にします。「元並」は止め、「特上」を4000円に設定します。値上げとなるのでトータルの売上の向上になるか単純に計れませんが、新設定の「上」が売れるようにはなるでしょう。
このように内容が同じものでも見せ方や表現を変える事で印象が変わる心理作用が「フレーミング効果」です。では別の例も見てみましょう。
●表現方法で割安感を演出する
通販等で高額商品を売りたい時、商品が一括払いでは高い印象を与えてしまうのでは、と言う時、高いと感じさせない為に分割払いを勧める事があります。
例えば商品が3万6000円として「24カ月の分割で月々は1600円、週にたったコーヒー1杯の値段で手に入ります」等と言います。言われた方はお手頃だなあと感じますがトータル額は6%以上の金利も付いて3万8400円です。消費者金融の広告にも似たようなコピーがあり、利息は1日たった○円と謳い、高利でも安く感じる表現がされている事があります。
●ポジティブ表現とネガティブ表現
次のように医師から言われた時にどのように感じるでしょうか。
1、「この手術は95%の人が助かります」2、「この手術は20人に1人が亡くなります」 こう言われると、結果が同じでも2のネガティブ表現の確率を高く感じてしまいがちです。何かを予防する商品はネガティブに伝え、推進商品はポジティブに伝えると効果があると言われます。
マーケティングの世界ではこうして印象操作をされ誘導されています。販売する側からすればこのようなキャッチコピーを意識すると売上増進に繋がるかもしれません。
●所有者不明の不動産が増加中
近年、相続が発生しても新しい所有者へ所有権を移転させる相続登記が行われず、所有者不明の不動産が増加していることが社会問題になっています。この問題を解消するため、様々な取り組みが検討されていますが、昨年から始まった「法定相続情報証明制度」もそのひとつです。
●法定相続情報証明制度とは
被相続人が死亡し相続が発生した場合の手続きは、相続登記だけに限りません金融機関における預貯金・有価証券の名義変更や払戻手続き、保険請求手続きなど、相続にまつわる手続きは様々です。これらの各種手続きを行うためには、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本など、相続関係を証明する資料一式を、手続きの都度原本で提出しなければならず、相続人にとって大きな負担になっていました。
こうした負担を軽減し、相続登記を促進しようと始まったのが「法定相続情報証明制度」です。相続人が法務局に相続関係を証明する戸籍謄本や必要書類とともに、相続関係を一覧に表した図(法定相続情報一覧図)を提出すると、以降は法務局がこの図の写しを戸籍上の法定相続人の証明書として発行してくれるというものです。この証明書を各種相続手続きに利用することにより、相続人や金融機関等の負担軽減につながることが期待されます。
●今後さらなる改善の見込み
しかしながらこの証明書、現状は被相続人の子について、実子・養子の別や続柄については基本的に記載せず「子」としてのみ表示されている点など、情報量の不足も指摘されており、現在、記載内容等の見直しが進められています。既に法務省による意見募集が終了しており、今後さらなる改善が見込まれています。
戸籍謄本など相続関係を証明する資料一式が必要な相続手続きを、複数の機関で行う場合に、できるだけ費用をかけず、かつできるだけ短期間で行えるのがこの制度のメリットです。制度を有効活用し、相続手続きの負担をできるだけ最小限にとどめたいですね。
組織目標を設定する際、そこには管理者の意思が端的に表明されます。
営業部門の場合で言えば、「適正な予算設定」が目標管理の「適正な組織目標設定」と同義で、管理者が市場環境と自社の販売ポテンシャルを的確に評価、判断する高い見識に基づいて設定されます。
そのような予算・目標の実績との差異は、極めて小さく、経営貢献度が高いものとなります。
●控え目な目標設定の問題と原因
組織目標の設定は、管理者にとって「トップから与えられたノルマ」と映りがちで、また、達成度によって組織業績が評価されます。
そこには管理者に「達成度が高く評価されるには、組織目標(予算)を控えめに設定する方が、得である」と言う意識が生まれる素地があります。
このような管理者の意識は、一般社員の目標設定に伝搬し、組織業績低迷の原因となります。
●組織目標のあるべき姿
組織目標は過去の実績に比べて高く、ストレッチ(努力してようやく手が届く)な水準に設定し、その裏付けとして、市場環境の的確な分析と販売ポテンシャルに関する評価と自信がなければなりません。
そのような目標は、実績との一致度が高くなり、同時に経営貢献度も高いものとなります。
●経営者・管理者の留意点
トップは「組織目標(予算)の達成度が高い」ことを、「未達」の時以上に警戒しなければなりません。
そこに、「恣意的に設定された控え目な目標・表面的な高い業績評価を追い求める管理者の意識」が存在する可能性があるからです。
トップと管理者は、そのような意識を排除し、組織目標(予算)を建設的行動の指標と考える高い見識を持たなければなりません。
見識を高める裏付けとなるのは、次のような自らの実践的努力を通じた経営貢献度を高める組織風土の醸成にほかなりません。
・目標管理制度の運用(目標設定・目標達成努力・目標達成度と経営貢献度評価)を通じた組織別・組織間の目標達成努力。
・それらに関する真摯な反省と問題認識、トップ・管理者による改革・改善。
●正社員化コース(拡充)
有期契約労働者等を正規雇用労働者に転換又は直接雇用した場合に助成されます。1年度1事業所当たりの支給申請人数の上限が15人から20人までになりました。追加要件として正規雇用等へ転換した際、転換前の6カ月と転換後の6カ月の賃金(賞与、通勤手当、時間外勤務手当、歩合給等は除く)を比較して5%以上増額している事が条件となります。また、有期契約労働者から転換の場合、対象労働者が転換前に同じ事業主に雇用されていた期間は3年以下に限ります。
1人当たり57万円(生産性要件を満たした時72万円) の支給額変更はありません。
●人材育成コース(整理統合)
有期契約労働者等に一般職業訓練又は有期実習型訓練を実施した時に支給されます。このコースは人材開発支援助成金に統合されます。但し、平成30年3月31日までに訓練計画書の提出がなされている場合は従来の人材育成コースで支給申請できます。
●賃金規定等共通化コース(新規)
有期契約労働者等に正規雇用労働者と共通の賃金規定等を新たに規定、適用した場合に助成されます。この制度は助成額加算措置が新たに加えられました。
1人2万円が上乗せされ生産性要件を満たした時は2万4,000円が上乗せされます。
上限は20人までです。
●諸手当制度共通化コース(新規)
有期契約労働者等に関して正規雇用労働者と共通の諸手当制度を新たに設け、適用した場合に助成されます。人数に応じた加算措置が加えられ2人目以降に適用、中小企業では1人当たり1万5,000円、生産性要件を満たした時1万8,000円、上限人数は20人までです。
また、共通化した諸手当の数に応じて2つ目以降手当1つ当たり16万円、生産性要件を満たした時は19万2,000円です。
既にキャリアアップ計画を提出していて当初の計画と異なるコースを利用するには事前に計画変更届を提出してください。
マイホームを売却した際に売却損が生じている場合の所得税の特例は2つあります。「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失」と「特定居住用財産の譲渡損失」の損益通算・繰越控除の特例です。どちらも国内に所在するマイホーム(売却した年の1/1での所有期間が5年超)を、配偶者や生計一親族以外の第三者に売却した場合に生じた譲渡損失のうち一定の金額について、給与所得など他の所得から控除(損益通算)を行うことができるというもの。さらに、控除しきれなかった金額についても、売却年の翌年以後3年間繰越して控除することができます(最大4年間の控除可。ただし、合計所得金額が3,000万円を超える年の繰越控除はできません)。
●居住財産の買換え等の場合の譲渡損失
「住宅財産の買換え等の場合の譲渡損失」の特例は、マイホーム(旧居宅)を売却し、新たにマイホーム(新居宅)の購入(買換え)をした場合の特例です。この買換えの時に、旧居宅の売却損が生じているときに、一定の要件を満たすものは、損益通算・繰越控除ができます。この場合、新居宅(床面積50平方メートル以上)について住宅ローン(返済期間10年以上)があることが要件となります(旧居宅について住宅ローンの有無は問われません)。
また、この制度は、住宅ローン控除の併用は可能です。この旧居宅の売却損を他の所得と損益通算や繰越控除を行った後に所得税等が算出された場合には、住宅ローン控除が適用されることになります。
●特定居住用財産の譲渡損失が生じた場合
「特定居住用財産の譲渡損失」の特例は、売却するマイホームに住宅ローンが残っている場合に適用され、そのマイホームの売却代金をもってしても住宅ローンが完済できないときに適用されます(この場合、新たなマイホームに買換えることは要件とされていません)。
例えば、取得費6,000万円のマイホームを2,000万円で売却するときに、住宅ローンが3,000万円残っていたとします。
この場合、売却代金2,000万円-取得費6,000万円=△4,000万円の売却損が生じますが、このうち、住宅ローン3,000万円-売却代金2,000万円=1,000万円の金額まで損益通算ができることになります。
●業務上と業務外のけがの取り扱い
労災保険は労働者の業務上のけがや病気の為の制度であり、経営者や役員は原則として労災保険の適用を受ける事はできません。但し特別加入と言う制度があり、経営者や役員も一般の労働者と同様に働いている場合に労災保険に加入できる途が開かれています。特別加入制度を利用するにはその事業所自体が労災保険の適用事業所でなければなりませんが、従業員がおらず親族だけで経営している様な事業所では特別加入もできない状態です。国民健康保険においては、業務上・業務外の区別はなく治療を行う事ができますが、健康保険は原則として業務外のけが、病気等の治療となります。業務上のけがは、労災保険を使用して治療を行う事となっています。
●無保険状態回避の為の健保制度
労働者もおらず、労災保険の適用も無い事業所では業務上のけがをしても、どの保険も使えないと言う事になってしまいます。そこで平成25年に改正があり、健康保険の給付制限を見直して健康保険及び労災保険のいずれの給付も受けられない場合には、健康保険の給付が受けられる事になっています。原則役員の業務上の負傷について、業務上の災害については「使用者側の業務上負傷に対する補償は全額使用者の負担で行うべき」との考えから労使折半である健康保険から給付は行わないとしています。しかし、5人未満の被保険者しかいない適用事業所に所属する法人の代表者等において、一般の従業員と著しく異ならないような労務に従事している者については健康保険の給付の対象となっています。被保険者数が5人未満であって代表取締役や役員が業務上でけがをした場合、健康保険から受けられる保険給付はすべてが対象になります。
●規律の乱れに気づいたら
昨年発表された厚生労働省調査によると労働相談は9年連続100万件を超え増加傾向が続いています。しかし労使トラブルは表面化している事ばかりではありません。
就労上の小さなルール違反や職場の秩序の乱れ等、就業に影響を与える言動等いわゆる規律の乱れも見逃せません。
目に余るような言動であれば注意指導、懲戒を行うこともあるでしょう。
しかし遅刻、言葉使い等些細な規律の乱れをいちいち注意しなくてもと見過ごしているうちに、前と違ったルールになっていたり、守って欲しい事が勝手な解釈や行動で職場の雰囲気の乱れとなっているのに気づく事はないでしょうか。
●就業規則の内容をより明確に伝える
労使トラブルや規律の乱れを防ぐためにも就業規則の整備は必要ではありますが、就業規則では拾いきれないこまごまとした日常の規範は別に「職場のルールブック」を作成すると良いでしょう。
行動規範があると上司からの注意指導がしやすくなり、従業員側も守るべきルールがはっきりする事で行動がし易くなります。
また、新しい人を採用しても統一した基準や仕組みがあれば分かり易く職場のまとまりも良くなり労使双方にメリットがあると言えるでしょう。
●職場ルールブックのメニューとは
ルールブックの内容は次の様なものになりますが企業によって他にあるかもしれません。
内容は経営者や管理職、また従業員代表を交えて意見を聞くのも良いでしょう。
(1)就業上の基本的ルール:勤務時間、遅刻、早退、欠勤、休日等に関する事、各種届け出や服務に関する心得等
(2)職務上守って欲しい事や禁止したい事:パソコンや情報の取り扱い、社有車、事故報告、ハラスメント防止等
(3)従業員に期待する事:ビジネスマナー、報連相、ヒヤリハット報告、クレーム対応等
(4)安全衛生・健康管理
(5)福利厚生:慶弔関連、社員旅行、クラブ活動、持株制度等
(6)病気、ケガ、結婚、子の誕生、産休育休の報告や手続き
(7)社内規則抜粋:退職、定年、懲戒、休職
(8)会社について:社長からのメッセージ、経営理念、経営計画、目標等
個人事業主と同居している家族がその仕事に専従し、事業主が家族に給与を払っている場合でも、同居の家族は個人事業主と一体と考えられることから社会保険の被保険者にはなれないのが原則です。その為、個人事業主が社会保険新規適用を行う時も世帯全員の住民票を添付しなくてはなりません。
なお、個人事業所の事業主と同居の親族を原則として被保険者にしないという考えは、雇用保険においても同様の取り扱いがされています。
●同居の家族が被保険者になれる場合
個人事業主と同居している家族であっても、いわゆる労働者性があれば社会保険及び雇用保険の被保険者になる事ができます。条件は、以下の通りです。
(1)事業主の指揮命令に従っている。
(2)就労実態が他の労働者と同様で、賃金もこれに応じて支払われている。
ア、始業、終業、労働時間や休日の要件
イ、賃金の決定や計算等が他の従業員と同様である
(3)取締役等事業主と利益を一にしていない。
●任意適用事業所とは
法人事業所や、常時5人以上被保険者となる従業員を使用する個人事業主は、事業主や従業員の意思に関わらず強制加入となっています。
一方、常時5人未満の従業員を使用する個人事業所や、人数に関わりなく農牧水産業、一部のサービス業(旅館、飲食、理美容、法務関連士業、娯楽、スポーツ、保養施設等)の個人事業所は強制加入ではありません。
しかし、加入する場合は従業員の半数以上の同意を得れば任意適用事業所として加入できます。その際には、事業主世帯の全員の住民票、任意適用申請書、同意書が求められます。なお、事業所が住民票に記載されている所在地と異なる場合は、「建物の賃貸借契約書」「不動産登記簿謄本」等所在地の確認ができる書類の添付が必要です。
●クレジットカード経費精算でポイント蓄積
業務上の出張では、立替払いで新幹線切符を購入しホテルの宿泊費も払い、ひと月に一度、前月分の経費精算をするというパターンの会社が多いのではないでしょうか。個人の経費立替時にクレジットカードで支払えば、カードの引落時期が通常1~2か月後であることから、会社の経費精算でお金が返還されるタイミングと合うため、個人の資金繰りに影響しないので便利です。また、クレジットカードの利用で、平均0.5~1%程度のクレジットカードポイント(以下、クレジットポイントと略します)がカード会社から付与されます。ポイントは商品やギフト券、電子マネーや航空マイレージ等に交換することができ、ちょっとした出張の余禄といえます。
●ポイント付与はカード会社の囲い込み戦略
最近は、「公共料金の支払いを新規で当社のカードに切り替えると〇〇ポイント贈呈!」といったクレジットカード会社の広告を多く目にします。クレジット会社の収益の源は、クレジットカードを代金回収に使っている会社から受け取る手数料です。どこのカード会社のカードで決済するかは、支払う人の選択に委ねられますので、カード会社は魅力的なポイントを提示して利用者の囲い込みを図ります。クレジットポイントは、自社のカードで決済(=収益増進に貢献)してくれたことに対する会社から個人へのお礼です。
●クレジットポイントにかかる課税問題
ポイント取得は、カード会社からのプレゼントですので、会社から個人への贈与となります。課税時期はポイントを商品や現金等に交換した時で、一時所得とされます。一時所得は、50万円の特別控除があります。さらに総所得金額に合算時には1/2にされます。サラリーマンで給与を1か所からだけもらっている場合(=大半の方がこれに該当するはずです)で、給与所得及び退職所得以外の所得金額が20万円以下である人等、一定の場合には確定申告をしなくてもよいことになっています。そのため、クレジットポイントが90万円相当以内(私的利用分も含みます)であれば、他の所得がなければ、確定申告しなくとも構わないということになります。これを超えるくらい出張が多くてポイントが貯まってしまった方は、確定申告が必要です。
●ポイントサイトで小遣い稼ぎ
ネット通販の買物の際に、あるサイトを経由するだけで、販売主(例えば家電量販店)のポイントの他に、ポイントがもらえるしくみがあります。ポイントサイトと呼ばれるものです。獲得したポイントは、交換することで、現金やギフト券、電子マネーや航空マイレージ等に交換することができます。ちょっとしたお小遣い稼ぎです。
稼ぎ方は、次のように分類されます。
(1)買物してポイントをもらう
(2)クレジットカード申し込み、FX口座の開設などでポイントをもらう
(3)アンケート回答でポイントをもらう
(4)文書作成等の仕事でポイントをもらう
●ポイントサイトは広告宣伝費の還元
ポイントサイトの役割は、ポイント付与で、広告主サイトに誘導すること(集客)です。
集客した顧客データを広告主に提供します。ここでいう情報とは、属性(男女、年齢、職業、都道府県等)、広告主サイトへの訪問数、どれくらいの割合が最終販売までこぎつけたのか等です。
広告主は広告宣伝費としてポイントサイトに対価を払います。その一部がポイントサイト利用者に還元されているのです。
●ポイント取得にかかる課税問題
ポイント取得原因を、稼ぎ方の観点から、(1)買物の値引き、(2)広告主企業からのプレゼント、(3)役務・労働の対価、に分類できます。
(1)(1)の買物でもらったポイントを同じサイトの買物代金に充当できる場合は、値引きとして課税の対象とはなりませんが、ポイントサイトでこうした例は少なく、ポイントサイトからのプレゼント扱いです。
(2)(2)のような場合は、広告主からのプレゼントとなり一時所得とされます。
(3)(3)や(4)は、役務提供による対価として、雑所得として課税されます。
●ポイントで稼いだ分の申告は必要か?
サラリーマンで給与を1か所からだけもらっている場合(=大半の方がこれに該当するはずです)は、雑所得が20万円以下であれば、確定申告をしなくとも構いません。
一時所得は、50万円の特別控除があります。この範囲内に収まれば、確定申告しなくともOKです。上記金額を超えて稼ぎすぎたら確定申告が必要です。
●フォローアップの重要性
目標管理がうまく行かない、と嘆く管理者が多い状況は、一般的にある困った問題です。
特に管理者がその原因を「部下の能力不足」と考えているケースは重症です。
真の原因は「管理者のフォローアップ不足」にあることが理解されていないのです。
●フォローアップの意義
目標管理の運用プロセスで、目標設定や評価が重要であることは言うまでもありませんが、目標達成プロセスは最も多くの時間を要し、成果に与える影響も大きいので重要視しなければなりません。
「目標を立て、権限を与え、自主的に行動させるのが目標管理であり、命令・指図は不要で、一切の干渉はせず、部下から離れる」のが適切だと考えている管理者は、放任主義者であり、「委任と放任の違い」を理解していないのです。
フォローアップは、目標管理の運用において目標設定により、部下にその達成を委任した時から、目標達成までの間に、管理者が行わなければならない次のようなマネジメント行動です。
※目標設定後の部下の行動に気を配り
※迷っていれば、適時、適切なアドバイスを送り
※障害に遭って苦しんでいれば、適切な助言、助力を行い
※重要な判断・決断を必要とする状況では励ます
このような、マネジメント行動をとるのがフォローアップであり、部下の行動や置かれている状況に絶えず気を配ることが必要です。
したがって、「一切干渉をしない放任」とは全く異なるのです。
ちなみに、元経団連会長・故土光敏夫氏は「もっと部下に近づけ、声をかけよ、盆栽でも一番良い肥やしは持ち主が毎朝息を吹きかけることだ」と述べました。
●経営者・管理者の留意点
目標管理の達成プロセスでは「管理者は指図・干渉はしないが、アドバイス・援助・激励は大いに行うことが不可欠だ」という経営者・管理者の共通認識を確認したいものです。
そして、年に数回の経営者・管理者の合同マネジメント研究会を行い、フォローアップの成功・失敗例を披歴し合って、相互にブラッシュアップしましょう。
●単身赴任でも一定の場合には適用OK
「居住用財産」には、先ほど挙げたものの他にも、転勤などのため単身赴任で他に起居している場合で生計一親族が居住した家屋・その敷地や居住用家屋を取り壊した跡地等(取壊しから1年以内)は特例の対象となる場合があります。
また、特例を受けるための目的で入居したと認められる場合や配偶者、直系血族、生計一親族や同族会社に売却した場合などについては、「居住用財産」に関する特例を受けることができないとされています。
●「特別控除+軽減税率」か「買換特例」か
「譲渡益」の特例のうち、「3,000万円控除」(譲渡益から3,000万円を控除できる制度)は「居住用財産」ならば、短期保有でも長期保有でも受けることができます。
「軽減税率」の特例については、所有期間が10年超の場合に認められるもので、6,000万円までの譲渡益については、国税10.21%(地方税4%)の軽減税率が適用されます。
「特定居住用財産の買換え」の特例(買換えによる譲渡益の課税繰延制度)は、所有期間10年超かつ居住期間10年以上であるとともに、譲渡対価は1億円以下、買換資産も床面積・敷地面積要件が求められています。
居住期間 | 10年以上 |
---|---|
3,000万円控除 | 可 |
軽減税率 | 可 |
特定居住用財産の買換え | 可 |
居住期間 | 10年未満 |
---|---|
3,000万円控除 | 可 |
軽減税率 | 可 |
特定居住用財産の買換え | 不可 |
居住期間 | ― |
---|---|
3,000万円控除 | 可 |
軽減税率 | 不可 |
特定居住用財産の買換え | 不可 |
所有10年超・居住10年以上の場合には、どの特例も適用要件を満たしますが、「買換え」の特例は、他の特例と併用適用ができません(特別控除と軽減税率は併用可能です)。
■ バックナンバー