浜松の税理士 坂本&パートナー TOP > 事務所案内 > Dailyコラム > Dailyコラム2018年10月~2019年3月
●働き方改革と時季指定権
働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律で改正後の労基法では、使用者による年5日の年次有給休暇の時季指定権が定められました。
2019年4月より労働基準法の改正により年次有給休暇の日数が10労働日以上である労働者にかかる年次有給休暇日数の内、使用者が5日の年休の時季指定権を行使しなければならなくなります。
その場合、企業で計画年休制度を入れて年休を付与したり、従業員が自分で年休請求をして休んだ場合等、その日数は時季指定権から外して考えられるのでしょうか。
●計画年休が付与されている場合
計画年休とは付与された年次有給休暇の内、5日を超える分について労使で協定して計画的に休暇取得日を割り振る事ができる制度ですが、この計画年休の日数は時季指定権の5日から除く事ができます。
また労働者本人が時季指定した年休も同様に除く事ができます。
●半日休暇を取得又は付与した場合
労働者本人の希望で半日の年休を取得した場合は、これに使用者が同意し本来の取得方法により休暇取得の阻害にならない範囲で適切に運用される限りにおいて問題が無いものとして取り扱うとされており、半日年休については使用者又は労働者が時季指定しても良い事とされています。
その場合は0.5日と扱われます。
●時季指定日に労働者が出勤した場合
使用者が新労基法で定められる年5日の年次有給休暇の時季指定に違反すると対象労働者1人につき30万円以下の罰金が予定されており、今までには無かった罰則です。
しかし使用者が時季指定しても、業務繁忙等を理由に労働者が出勤してしまう事もありうる事です。
当日の労務提供義務は無いので帰宅をさせるのが前提ですが、労務の提供をさせた場合でも、その後年5日の時季指定権年休が付与できれば違反とは言えないでしょう。
通達によれば年度当初に労働者の意見を聞いた上で年次有給休暇計画表を作成し、これに基づき年次有給休暇を付与する事等が考えられるとされていますが、年休取得状況を把握する為には年休取得管理簿は必須となるでしょう。
●扶養是正にはどのようなものがあるか
(1)所得超過
最も誤りが多いのが、この所得超過です。配偶者や扶養親族に一定の所得金額があるにもからわらず、所得者本人がその金額を把握していなかったことによるものです。
(2)重複控除
他の所得者と重複して控除を受けていたというものです。例えば、共働きの夫婦がどちらも同じ子供を扶養親族として控除していたようなケースです。
(3)年齢相違
特定扶養親族や老人扶養親族は、控除を受ける年の12月31日時点の年齢がそれぞれ、19歳以上23歳未満、70歳以上という条件がありますが、そのような年齢の条件に合致しない人を控除の対象としていたというものです。
(4)その他
扶養控除の対象となる親族は、6親等内の血族及び3親等内の姻族ですが、それ以外の親族を扶養の対象としていた場合や、白色事業専従者を扶養の対象としたケースなどがあります。また、夫と離縁した人が寡婦控除を受けるには、扶養親族や生計を一にする子がいることが要件(死別の場合や寡夫の場合は条件が違いますのでご留意ください)ですが、その要件に当てはまらないというケースもあります。
●是正のしかた
年末調整を行っている方は、源泉徴収義務者である勤務先で年末調整の再計算を行ってもらい、追加で納付する税金を源泉徴収義務者経由で納税します。
確定申告を行っている方は、所轄の税務署に修正申告書の提出と納税を行います。
仕入税額控除の適用を受けるために、現行制度下では帳簿及び請求書等の保存を要件とする請求書等保存方式が採用されています。軽減税率制度の実施に伴い2019年10月1日からは区分記載請求書等保存方式が、2023年10月1日からは適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)が導入されます。
●区分記載請求書等保存方式
2019年10月1日以降の取引については、飲食料品等に軽減税率が適用され複数税率となることから、消費税の税額計算を適正に行うためには、税率ごとに区分経理を行う必要があります。従来の請求書等保存方式の内容を基本的に維持しつつ、区分記載請求書等保存方式においては、帳簿及び請求書等の現行の記載事項に加え、課税仕入れに係る資産又は役務の内容について軽減税率の対象である場合には「軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨」の記載が必要とされます。
また、資産の譲渡等の対価の額の合計額についても、税率ごとに区分することが必要となります。これら新たに加えられる記載事項については、請求書等の交付を受けた事業者が追記することも認められています。
●適格請求書等保存方式
適格請求書等保存方式の下では、帳簿及び適格請求書発行事業者が交付する「適格請求書」又は「適格簡易請求書」の保存が仕入税額控除の要件となります適格請求書を交付できるのは適格請求書発行事業者に限られます。適格請求書発行事業者になるためには、税務署長に登録申請書を提出して登録を受ける必要があります。なお、課税事業者でなければ登録を受けることはできません。
保存する帳簿及び請求書等の記載事項は、帳簿については区分記載請求書等保存方式と変わりませんが、「適格請求書」及び「適格簡易請求書」については区分記載請求書等の記載事項に加え、登録番号、税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分した合計額及び適用税率、消費税額等の記載が必要となります。
軽減税率制度実施後の一定期間は、税率の区分計算が困難な中小事業者を対象とする税額計算の特例が設けられます。制度の概要、自社への影響を理解したうえで対応準備をしておきましょう。
●車体課税減税~大幅な見直しの背景
平成31年度税制改正大綱では、10月に予定されている消費税率の引上げ後の高額耐久消費税(住宅・自動車)の需要の反動減に配慮し、これらの税負担の軽減に重点が置かれています。
ただ、車体課税については、昔から、自動車メーカーから国内市場の活性化のため軽減の要望が強くありました。
一方で車体課税の多くが地方財源。道路の維持管理に安定的な財源を確保が必要で、大胆な減税にはなかなか応じられません。
この双方の要求事項を消費税増税のタイミングで解決してしまおうというのも今回の改正の背景の一つ。与党税調も「最終的な結論」と力が入ったものになりました。
●購入時の課税は新税導入(環境性能割)
自動車の購入時の課税は、新税(環境性能割)が導入されます(H31.10.1より改正)。
・改正前(消費増税前)
自動車取得税(道府県民税)
購入価格×3%(エコカー減税あり)
・改正後(消費増税後)
新税(環境性能割)※自動車取得税廃止
燃費に応じ0~3% (エコカー減税なし)
今回の改正では、消費増税後の負担を解消するため、改正後1年に限り、新税(環境性能割)の税率が1%軽減されます。
また、一定の燃費基準を上回る車は非課税となります。
一方、自動車取得税の廃止までの31年4月~9月購入の車両については、エコカー減税(自動車税)が縮小されます。
●保有による課税(自動車税)は恒久減税化
自動車の保有者が毎年納める自動車税(道府県民税)は次のように見直されます(H31.10.1以後の新車登録より改正)。
・改正前 排気量に応じて 年29,500円~111,000円
・改正度(恒久減税) 排気量に応じて 年25,000円~110,000円
これは恒久的な減税(1,000円~4,500円)で、排気量が小さいほど減税幅が大きくなります(軽自動車税は据置きとなります)。
●自動車重量税のエコカー減税は縮小へ
一方、2年に一度の車検時に支払う自動車重量税(国税)は増税となります。
重量税のエコカー減税は2年期限で延長されましたが、環境性能(燃費)の悪い車は減税幅を少なくし、2回目車検の免税措置も電気自動車等に限定する方針です。
また、「自動車重量譲与税制度」を設け、自動車税の税収減を補う仕組み作りを行っています。
●届出に必要な添付書類と省略事項
扶養認定を受ける方が被保険者と同居している時は下記の(1)と(2)、別居している時は(1)(2)(3)の書類が必要です。
(1)続柄の確認……戸籍謄本か抄本あるいは住民票(同居で被保険者世帯主である事、提出日より90日以内に発行されたもの)
省略できる時……被保険者と扶養認定を受ける方双方のマイナンバーが届出に記載されている事と、扶養認定を受ける方の続柄が届書の記載と相違ない事を事業主が確認し備考欄の「続柄確認済み」の□にレを付している、又はその旨記載している。
(2)収入の確認……年間収入が「130万円未満」であることを確認できる課税証明書等(60歳以上の方、障害厚生年金の受給要件に該当する程度の方は180万円未満)
障害・遺族年金、傷病手当金、失業給付等非課税対象の収入がある場合、受取金額の確認ができる通知書控え
省略できる時……扶養認定を受ける方が所得税法上の控除対象配偶者又は扶養親族である事を事業主が確認し、事業主確認欄の「確認」を○で囲む。
又は扶養認定を受ける方が16歳未満の場合は省略できます。
(3)別居の場合……認定には別居の確認が必要になります。仕送りの事実と仕送り額が確認できる振り込みの通帳写しや、現金書留で送金するならばその控え
省略出来る場合……扶養認定を受ける方が16歳未満又は16歳以上の学生
今まで被扶養者の認定について健康保険組合ほど証明は求められていませんでしたが、年金機構でも添付書類を求められるようになりました。
届出様式も協会管掌事業所用被扶養者異動届が新しくなりました。
中小企業基盤整備機構が運営する「小規模企業共済制度」と「中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済)」の2つの共済制度は、節税や将来への備えとして活用している企業も多いと思います。
まだ活用していないという企業様向けにメリットと留意点を整理してみましょう。
●退職金を積み立てる小規模企業共済
小規模企業共済は、積立てによる退職金制度で、卸売業・小売業、サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)を営む法人は従業員数5人以下、その他の業種は従業員数20人以下などといった加入要件がありますが、小規模法人の役員や個人事業主を対象としています。
掛金は月額1千円~7万円まで5百円単位で自由に設定でき、加入後も増額・減額が可能です。
メリットとして、支払った掛金の全額をその年の課税所得から所得控除できることがあげられます。同様に、1年以内に前納した掛金も所得控除することができます。また、契約者貸付制度があり、掛金の範囲内で事業資金を低金利で借りることが可能です。
掛金納付月数が240か月未満で任意解約した場合は元本割れすること、共済金受取時には所得として課税の対象となることには留意が必要です。
●取引先の倒産に備える倒産防止共済
中小企業倒産防止共済制度は、取引先が倒産した際に連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度です。
資本金などの上限がありますが、1年以上事業を継続している中小企業者であることが加入要件となっています。
積立総額800万円を上限とし、掛金は月額5千円から20万円まで5千円単位で自由に設定でき、途中で増額・減額が可能です。
取引先が倒産した場合、無担保・無保証人ですぐに借入れができる、支払った掛金の全額を損金もしくは必要経費に計上できるというメリットがあります。
一方で、納付月数が40か月未満で解約すると元本割れとなること、共済金受取時には益金もしくは事業所得として課税の対象となることに留意が必要です。
制度の内容をよく理解して上手に活用していきましょう。
●月240時間以上労働の過労死ライン
最近の調査で東京大学社会科学研究所の調べによると、この10年間に月に240時間以上の長時間労働をしている人が減少したことが分かりました。
月に240時間以上の長時間労働をしている男性の「典型雇用」(正社員等) では2007年の35.4%から2017年は23.7%まで減少しています。
同じく女性の典型雇用でも12.1%から8.2%に減少しています。
「非典型雇用」(契約社員等)でも減少傾向が見られます。
月に240時間以上の長時間労働を見ると1カ月20日勤務したとした場合1日12時間以上の労働になりますが、月間80時間以上の時間外労働は過労死ラインと言われています。
脳卒中や心臓病の発症率が高く、労災とされた時は業務との因果関係が認められやすくなり、労働者、企業の双方にリスクがあります。
減少してきたとは言えまだ23.7%あるのは高いと言えるのかもしれません。
●帰宅時間は変わったか
同じ調査で働く人の「平均帰宅時間」も早まった事が分かりました。
この10年間で男性は午後8時2分から同7時48分へ、女性は午後6時48分から同6時1分へそれぞれ減少していて平均的な労働時間も減少しています。
●働く人の意識の変化
別の調査でシチズン時計株式会社が行った「ビジネスマンの生活時間35年の推移」によると、帰宅時間で遅いと感じる時間は1980年から2000年迄は「23時」がトップでしたが2010年には「22時」がトップ、2015年には「21時」がトップと、この35年間年々早まる結果となりました。
同調査はリーマンショック(2008年)や東日本大震災(2011年)の影響から生活様式が見直され、働き方にも変化が見られるとしています。
その後の過労死の社会問題、働き方改革の推進もあり、働く人々の意識の変化がさらに高まってきています。
企業もこの世相や意識の変化を認識しておく必要があるでしょう。
既に30年11月に自民党税制調査会が「消費税率引上げに伴う対策について」の中で対策の大枠を掲げていました。
・駆け込み・反動減、中小・小規模対策 … 耐久消費財対策(平成31年改正)
・逆進性対策…軽減税率導入
・負の所得効果対策…賃金引上げ、幼児教育無償化
●「複雑となりすぎた制度」環境整備急務
これが、与党税制改正大綱の「消費税率の引上げに伴う対応」の3項目に落とし込まれました。特に軽減税率導入時の混乱が予想されるため、環境整備が急がれます。
(1)需要変動の平準化に向けた取組み
(価格表示・転嫁対策、住宅・自動車の措置)
(2)軽減税率制度の実施
(Q&A追加、個別相談、レジ導入支援など)
(3)医療費に係る措置
(診療報酬の補てん状況を調査・対策)
●「屋台でも免税」臨時販売場の出店容易に
東京オリンピック開催に備え、外国人旅行者向け消費税免税制度(輸出物品販売所制度)が見直され、事業者が地域の祭りやイベントに免税店を出店する際の手続きが簡素化されます(「臨時販売場に係る届出制度」の創設)。現行制度では、屋台など短期間で免税店を出店する場合でも、常設店同様の提出書類(店の見取図、マニュアル、免税対象品目など)が必要で、審査に時間がかかるため、申請を見送るケースも多くありました。この制度の開始は、平成31年7月からとなります。
●急増する金密輸に対策:買取側控除に制限
ニュース等で話題の「金密輸」についても対策が講じられます。国外から日本に金を持ち込む場合には、申告を行い、消費税を納める義務がありますが、密輸業者は金を隠して持ち込み、国内買取業者に消費税を上乗せして販売。差益を得ていました。
これに対し、(1)密輸品と知りながら行った課税仕入れは仕入税額控除を認めない、(2)金・白金の地金の課税仕入れについて、本人確認書類の保存を仕入税額控除の要件に加える措置がされました(H31.4~)。
●31年税制改正「消費税対策」が重点に
平成31年の税制改正大綱では、10月に実施予定の消費税率10%引上げに伴う、駆込み需要・反動減対策(車両・住宅)に重点が置かれ、単年度ベースで1,670憶円規模の減税措置がされると公表されました。
個人所得課税(金融・証券税制以外のもの)については、次の項目が改正されます。
●住宅ローン控除の拡充(国税・減税)
過去の消費増税時に住宅の駆込み需要とその後の販売減を経験していることから、住宅ローン控除が拡充されました。31年10月から32年末に入居する住宅(消費税10%適用)については、控除期間が現行の10年から13年に延長されます11年目からは計算方法が変わることに注意しましょう。
1~10年目住宅ローン年末残高×1%(最大40万円)
11~13年目次のいずれか少ない金額
(1)住宅ローン年末残高×1%
(2)取得価額(最大4000万円)×2%÷3
●空き家の譲渡の特別控除(国税・減税)
適用期限が4年延長され、老人ホーム等に入所したことにより空き家になった場合においても、一定の要件を満たすものについては、適用の対象となりました。
また、所有者不明土地を収用した場合の5,000万円特別控除制度が創設されました。
●ひとり親(未婚)の非課税(住民税・減税)
自公で議論となっていたのが、婚姻歴のないシングルマザー等の「寡婦(夫)控除」の取扱い。結論は翌年に持ち越しとなりましたが、次の要件を満たす「ひとり親」の住民税が非課税とされました(未婚男性の「ひとり親」にも適用されます)。
・児童扶養手当の支給を受けていること
・前年の合計所得金額が135万円以下
なお、所得税の負担が残るため、給付金17,500円(非課税)が年収365万円までの10万人弱を対象に支給される見通しです。
●その他の改正(ふるさと納税の適正化など)
その他には、(1)ふるさと納税の高額返戻品禁止(返戻割合3割以下の地場産品に限定)、(2)仮装通貨の取得価額の計算方法の明確化(移動平均法又は総平均法)(3)申告書の源泉徴収票、特定口座年間取引報告書等の添付不要化・記載事項の見直し、(4)森林環境税(仮)の創設、(5)公的年金等の源泉徴収見直し等が措置されています。
●自筆証書遺言保管制度の新設
平成30年7月6日、法務局における遺言書の保管等に関する法律が成立し、法務局において自筆証書遺言を保管する制度が新たに設けられることとなりました。
新たな制度では、予め保管申請しておくと、遺言者が死亡した後に相続人が法務局において、遺言書保管事実証明書及び遺言書情報証明書の交付請求、遺言書原本の閲覧請求をすることができるようになります。
また、相続人の1人に遺言書情報証明書を交付した場合または遺言書の閲覧をさせた場合には、法務局から他の相続人等に遺言書が保管されている旨が通知されることになります。
●紛失・改ざんなどのリスク
自宅で自筆証書遺言を保管した場合、紛失・亡失の可能性がありますし、遺言書の内容によっては相続人による廃棄、隠匿、改ざんの恐れがあります。
実際、その内容に不満を持った相続人が意図的に廃棄する、内容を書き換えるといったことにより相続手続きや相続税申告に支障が出るケースも見受けられます。
●相続手続きと相続税申告をスムーズに
相続税の申告は被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行うことになっています。
ところが、相続財産の把握や財産分割には思いのほか時間がかかるものです。
自筆証書遺言があった場合でも家庭裁判所で検認という手続きが必要になり、最低でも1か月はかかるのが現状です。
保管制度を利用すると検認は不要ですし、自筆証書遺言で財産目録と遺言者の意思表示が分かりますので、相続手続きと相続税申告書作成がスムーズにできると期待されます。
なお、自筆証書遺言を法務局において保管する制度は、2020年7月10日施行日になりました。
したがってそれまでは、自筆証書遺言は、自宅等で保管が必要になります。
●遺言書の方式緩和
現民法では自筆証書遺言は全文を自筆する必要がありますが、民法改正によりパソコンで作成した財産目録、通帳のコピー、登記事項証明書等の自書によらない財産目録を別途添付することが可能となります。
財産目録には遺言者の署名押印を行うことで偽造を防止します。
この改正は平成31年1月13日から施行されました。
●老後のお金と平均余命
日本人の平均寿命は2017年では男性が81.09歳、女性が87.26歳で女性は世界2位、男性は世界3位です。
老後に必要なお金を平均余命で考えますと60歳時点の平均余命は男性23.72年、女性は28.97年となっていて、定年後の期間の長さの想定が必要になります。
老後の生活費は総務省の家計調査で高齢夫婦の無職世帯では月約23.5万円かかります。例えば60歳の夫と2歳年下の妻の例をみると夫が83歳で亡くなる23年間で約6,500万円、妻が残されて約7割の生活費で88歳までとして7年間は約1,382万円、両方合わせると約7,900万円程度です。
上記のように平均寿命までずいぶんとかかると感じますが、人生100年時代となればもっと必要になるでしょう。またこの生活費でレジャーや旅行などを楽しみたい場合、月額34.8万円は必要とされています。
●公的年金で賄う分は
年金の受給額は夫が会社員、妻が専業主婦という今までの厚生労働省のモデル世帯では夫婦で月約22万円です。
夫の年金受給は昭和36年4月2日以降生まれの方は全額65歳からですが、それ以前に生まれた方は特別支給の老齢厚生年金が生年月日により支給されます。
65歳から年金支給される夫が平均寿命で亡くなり妻が夫の年金の4分の3の遺族年金を受けた時、夫婦の年金総額は約6,000万円です。別に医療費や介護費用、リフォーム等予備費も必要ですがここでは計算に入れません。
●不足分はどうする?
以上を差し引きすると2,000万円程度は足りない事になります。預金、退職金、再雇用等で収入を得たりするのが一般的です。
老後の心配事でよく挙げられるのがお金、健康、生きがいの3つです。定年前の方にとってお金が最大の関心事です。昔より長生きできる時代となって必要額も増えています。支出は住宅ローンの繰り上げ返済、生命保険の見直し、現役時代から支出を減らし貯蓄に回す、その習慣づけが身につけば定年後の支出も抑えられるでしょう。この先の収入の柱は年金であっても、定年後の雇用継続をするか転職しないと60歳時点では年金は出ません。可能なら働いておいて健保や厚生年金に加入すれば年金額が増え健保の給付も受けられます。
●税のコンビニ決済は前からあった
平成20年にバーコード付納付書が登場しました。このバーコード付納付書は、1枚につき30万円以下の納税額であれば、コンビニで支払いができるものです。
ただし、確定した税額を期限前に通知する場合(所得税の予定納税等)や、督促・催告を行う場合等の、特殊条件以外の納付の場合は「確定した税額について、納税者から納付書の発行依頼があった場合」とされており、税務署等で申告書を提出する際にその旨を伝えると発行してくれるものでした。また国税庁のWebサイトには「混雑状況等により、発行までに相当のお時間がかかる場合があります」という前置きがしてあり、「即時発行では無い」と言いたいようです。
●平成31年1月4日からQRコードに!
平成31年1月4日から、確定申告書作成コーナー及び国税庁ホームページに、QRコード(PDFファイル)を印字した書面が作成できるコーナーが新たに追加されます。このQRコードをコンビニのキオスク端末(LoppiやFamiポート)で読み取らせる事によって、バーコード(納付書)が発行され、税の納付ができる仕組みです。
QRコードさえ読み込ませればよいので、スマートフォンやタブレット端末にファイルを保存して、端末画面に表示する事によってキオスク端末に読み取らせる事も可能です。
●あれ? セブン-イレブンは?
現状利用可能なコンビニとして名前が挙がっているのは「ローソン、ナチュラルローソン、ミニストップ、ファミリーマート」のみです。全国に2万店舗ほどある、セブン-イレブンの文字はありません。対応しないのでしょうか?
また、従来のバーコード付納付書同様に、1枚あたりの納付金額は30万円以下でなければならないようです。
ダイレクト納付、インターネットバンキング、クレジットカード納付、振替納税、そしてコンビニ納付と昨今では納付方法も多彩に選べます。ご自身の生活に合った納付方法を選択してみてはいかがでしょうか。
※QRコードは(株)デンソーウェーブの登録商標です。
●飛行機の燃料代「燃油サーチャージ」
海外旅行の旅券を予約しようとインターネット上のサイトを見ると「燃油」 という項目の値段表示を見かける事があります。
これは「燃油サーチャージ」と呼ばれるもので、変動する原油の価格に対して航空会社が燃料代をまかないきれない場合に適用される別建ての料金です。
原油相場により変動し、1バレル60USドルを下回る(JALの場合)など、一定レベルまで下がれば徴収されないことになっています。
ある会社の韓国行きの、ここ数年の往復サーチャージ金額を比較してみると、2014年の5,000円が最高、2016年の0円が最低となっています。
2か月に1度価格の見直しが行われる航空会社が多いので、予約する日を遅くしたり早くしたりすると、ちょっとした旅費の節約になる場合もあります。
●旅券に1,000円上乗せ?「出国税」
平成30年の税制改正で27年ぶりに新税が創設されました。「国際観光旅客税」というもので、国籍を問わず、日本からの出国1回につき1,000円を徴収するものです。
徴収方法は「国際旅客運送事業を営む者による特別徴収」となっていますから、航空会社はチケット代に1,000円を上乗せして請求する事になるでしょう。
●こんな時、出国税はかかりません
厳密に言うと「出国」となる場合でも以下のケースでは国際観光旅客税はかかりません。
・航空機又は船舶の乗員
・公用機(政府専用機等)で出国
・乗り継ぎ(入国後24時間以内の出国)
・天候不良等で日本に緊急着陸した場合
・一度出国したが天候不良等で戻った場合
・2歳未満の人
・外交官等の一定の出国
・強制退去者等
●適用は平成31年1月7日から
来年1月からは国際観光旅客税がかかってくるので、航空会社の運賃に税が上乗せされての料金が表示される事になるでしょう
燃油サーチャージや航空会社・チケット会社のサービス等を見極めて、お得に海外に旅立ちたいものですね。
●高齢者人口増加と社会保障費の増大
総務省によると65歳を超える高齢者の人口は3,557万人(2018年9月時点)。
前年から44万人増加しています。総人口に占める高齢者の割合は28.1%で70歳以上が占める割合は初めて2割を突破しました。高齢者人口は2000年の2,204万人から18年間で6割も増加しています。それに伴い社会保障費が増大し18年度は約32兆円、国家予算の3割に当たります。今後も少子高齢化は進みます。今までのように「多くの現役世代が高齢者の保障を支える」賦課方式は継続が難しくなるので見直しをする事になるでしょう。
●受給開始年齢は引き上げか
1942年に現在の公的年金制度の基礎となる労働者年金保険法ができた時は受給開始年齢は55歳でした。何度かの制度見直しで86年に国民年金、厚生年金ともに65歳支給開始となりました。しかしそれから30年たち現在では65歳になっても再雇用等で現役を続ける人が増えています。今年の4月には総務省の財政制度審議会で受給開始年齢の68歳への引き上げが提言されています。
自民党の総裁選挙討論会では安倍総理が「現在60歳から70歳の間で任意に変動させられる年金の受給開始年齢を70歳以降まで広げる仕組みについて「3年で導入したい」と述べたそうです。生産年齢人口減少を補うにも高齢者に継続就業してもらいたいという事でしょう。
●高額所得高齢者に負担の波が来ている
受給開始年齢の引き上げはすべての高齢者に影響がありますが、特に高額所得高齢者を狙い改定されるケースが目立ちます。8月にも高額療養費の上限引き上げ、介護保険料の自己負担額の引き上げ、年金以外の収入が1,000万円を超える人について公的年金控除の控除額が縮小される見通しもあります。
また、給与所得控除が最低220万円認められていましたが195万円に縮小され、適用できる基礎控除も新たに所得制限ができました。
また、在職老齢年金制度は廃止の方向で検討され、年金がカットされる事がなくなるかもしれません。カットされないのはいいのですが、支給開始が遅くなるならあまり変わりないかなとも思えます。今後の行方が気になるところです。
●提出書類等が変わった医療費控除
平成29年の確定申告から、医療費控除の適用に書面提出の場合でも「医療費控除の明細書」を提出すれば、領収書の提出が不要となりました。また「医療費通知」の添付でも申告を受け付けるようになっています。さらに医療費控除のミニ版とも言える「セルフメディケーション税制」も開始されました。各種注意点を挙げてみましょう。
●「医療費通知」の利用に注意
保険組合等から送られてくる「医療費通知」、もしくは「医療費のお知らせ」と書いてある紙ですが、(1)被保険者等の氏名(2)療養を受けた年月(3)療養を受けた者(4)療養を受けた病院、診療所、薬局等の名称(5)被保険者等が支払った医療費の額(6)保険者等の名称の全てが記載してある場合、申告書に添付する事により確定申告で医療費控除が受けられます。なお、医療費通知だけで医療費控除の内容を全て補完できる場合は内容記載の領収書等の保存義務はありません。
ただ、医療費通知は年末11月・12月の医療費について記載がないケースが多いようです。また、自費診療等の場合は医療費通知に記載はありません。よって医療費通知単体で控除申告する事は難しい年もあるでしょう。未記載の部分については「医療費控除の明細書」の提出が必要となります。併せて明細書に記載した内容の領収書は申告期限等から5年間は保存する必要があるので注意しましょう。
●セルフメディケーション税制の注意点
セルフメディケーション税制は、市販されている中で「スイッチOTC医薬品」に該当する医薬品を年間1万2千円以上購入している場合、最大10万円までの範囲で所得控除が受けられる制度です。つまり最大8万8千円所得控除が受けられる、医療費控除のミニ版とも言える制度です。
ただし、この控除を受けるためにはセルフメディケーション税制の適用を受けようとする年分に健康の保持増進及び疾病の予防への取組として「一定の取組」を行っているという証明が必要になります。一定の取組とは、健康診断や予防接種を受けているかどうかです。証明する書類が必要となりますので、健診結果や予防接種の領収書等はなくさないようにしましょう。
●最低賃金引き上げ額平均26円で過去最大
平成30年度地域別最低賃金は、中央最低賃金審議会で賃上げ額の目安が公表され、それを基に各都道府県労働局長が改定額を決定し10月1日から順次発令されます。
改定額を見ていくとAランクの6都道府県は目安通り27円引き上げられ、東京は985円と最高、神奈川は983円と1000円に迫りました。
Bランクの16府県も目安通り26円引き上げられ、7県が新たに800円以上、一方Cランクは25円の引き上げ、5県が新たに800円台に乗せました。
Dランクでは24円の引き上げでCとDで11県が762円で並び、最低は鹿児島県の761円でした。
●5年後には1000円まで引き上げ?
近年、最低賃金は引き上げの流れが続き、時給額のみで表示されるようになった平成14年度には663円でしたが一昨年度に初めて平均800円を超えました。
今回は全国加重平均で最低賃金を3.1%程度引き上げています。
このままですと5年後には1000円に達する事になります。
政府は800円以下の最低賃金をなくすことを掲げているので、人手不足に対処するため中小企業では実力以上の賃上げを求められるかもしれません。
平成30年の改定額は以下の通りです。
A.27円改定
東京 985円 大阪 936円 愛知 898円 千葉 895円 神奈川 983円
埼玉 898円 兵庫 871円
B.26円改定
茨城 822円 栃木 826円 群馬 809円 宮城 798円 富山 821円 長野 821円
京都 882円 静岡 858円 三重 846円 滋賀 839円 和歌山803円
岡山 807円 広島 844円 山梨 810円 徳島 766円 香川 792円
C.25円改定
北海道835円 新潟 803円 石川 806円 福井 803円 岐阜 825円
奈良 811円 山口 802円 福岡 814円 愛媛 764円 高知 762円
佐賀 762円 長崎 762円 熊本 762円 大分 762円 宮崎 762円
沖縄 762円
D.24円改定
青森 762円 秋田 762円 岩手 762円 山形 763円 福島 772円
島根 764円 鳥取 762円 鹿児島761円
●今年の配偶者控除改正の影響は?
これまで通り配偶者(通常は妻)の年収が103万円を超えると配偶者特別控除が適用にはなりますが、控除額が減額され始めるのが150万円(所得85万円)超からになりました。配偶者の年収が150万円を超えると段階的に控除額が下がり、201万6千円(所得123万円)で0になります。
また、高額所得者の配偶者(普通は夫)の年収が1120万円(所得900万円)以下ならば控除額は38万円ですが、この額を超えると控除額が下がり年収1220万円(所得1千万円)超で控除はなくなります。高額所得者世帯で影響が出るところがありそうです。
●税制以外の年収制限要因
税制面では控除額減額開始が年収150万円に引き上げられましたが、妻が単純に収入を増やしたいというわけではありません。夫の勤務する企業で扶養手当が支給される場合にその手当を支給する基準を年収103万円以下と定めている企業が多くあり、その金額を超えると手当が支給されなくなってしまいます。
一般的に月数万円位が支給されているので収入を増やしても手当が無くなってしまう方が影響は大きいのです。
また、社会保険の被扶養者は年収130万円未満とされていて、それ以上の収入になると自分で勤務先の社会保険に加入するか国保加入する事になります。
さらに501人以上の企業では年収106万円を超えると企業の社会保険に加入しなければなりません。
毎年秋になるとその年の年収を調整しなければならない妻の事情は、今年も変わっていないようです。
●社会保険加入に積極的な面も
一方で2016年秋に年金制度が改正され501人以上の企業で週20時間以上勤務するパート等が厚生年金の加入対象者となった時に、保険料負担を嫌って短時間勤務を選ぶ人が多いとみていた政府は加入者の増加数に驚いたそうです。
新規加入者25万人の予想を上回り、昨年末時点で1.5倍の37万人が新たに加入したからです。保険料負担をしても収入を増やして手取りを増やせる位働こうと考える人もいるという事です。
人生100年時代に備えて将来の年金額を増やしたい人も増えている側面もあるのでしょう。
●年末の恒例になりつつあるふるさと納税
そろそろ年末の足音も聞こえてきました。来年は消費税増税・軽減税率導入・年号改正等、身近な税や制度について大きく変更がある予定となっています。
その中の1つに「ふるさと納税」があります。ここ数年、大きなうねりとなってすでに国民の認知度は高くなっていますが、過剰な返礼品競争の末、ついには総務省が「来年より法規制をする」という方針を示しました。
●今は「高すぎるもの」も見逃されている
平成30年4月には、ふるさと納税は「返礼品の価値は寄附額の3割にしてください」という総務省の「要請」が出ていますが、法的拘束力がなく、逆に3割以上の返礼率を持つ自治体に人気が集まる結果となりました。総務省は調査を踏まえて「見直しが必要である自治体」を公表したのですが、「それだけお得な自治体」ということで逆に、拍車を掛けたという事は否めません。何故発表したのか疑問です。
●来年法規制……という事は今年は?
平成30年9月、総務省はふるさと納税の返礼品について、規定外のものを扱った自治体に対し、ふるさと納税制度から外す事も視野に入れ、来年度から制度の見直しを行うという発表をしました。
これにより、来年4月以降はより一層ふるさと納税の規制が進むとして、現在駆け込み需要が過熱しています。ある自治体では、返礼率が高い上に使い勝手が良い「Amazonギフト券」を総務省の目に付きにくい土日祝日のみサイトに出す等、ゲリラ戦術の様相も呈しています。
●配偶者特別控除絡みで上限にはご注意を!
ふるさと納税は自己負担が2,000円で返礼品が貰えるお得な制度ですが、今年の自己負担が2,000円で済む寄附の上限は、今年の収入・所得・控除によって決まります。今年は配偶者特別控除の変更があり、去年と同様の収入・控除ですと控除限度額が下がる方もいらっしゃいます。計算シミュレーション等で確認しましょう。
●消費税軽減税率制度の概要
2019年(平成31年)10月1日から、消費税及び地方消費税の税率が8%から10%に引き上げられると同時に、消費税の軽減税率制度が実施されます。
軽減税率(8%)の対象となるのは、次の2品目です。
1.飲食料品…飲食料品(酒類を除く)
※外食やケータリング等を除く。
2.新聞…週2回以上発行される新聞(定期購読契約に基づくもの)
●区分記載請求書等保存方式が始まる
軽減税率制度の実施に伴い、消費税等の税率が8%と10%の複数税率になりますので、2019年10月1日から2023年9月30日までの間は税率ごとの区分経理が必要です。
また、区分経理に対応した帳簿及び請求書等の保存も要件となります。
●適格請求書等保存方式(インボイス方式)
2023年10月1日以降、複数税率に対応した仕入税額控除の方式として、「適格請求書等保存方式」いわゆる「インボイス方式」が導入されます。
適格請求書(インボイス)は、適格請求書発行事業者として登録を受けた事業者でなければ交付できませんので、適格請求書発行事業者となるためには、2021年10月1日以降、登録申請書を税務署に提出しておかなければなりません。
免税事業者は、課税事業者となることを選択し、登録申請書を提出すれば適格請求書発行事業者となることができます。
●レジの導入はお早めに
複数税率対応レジを導入することで、区分記載請求書等の発行が簡単にできるようになりますし、今なら軽減税率対策補助金が1台当たり最高で20万円受けられます(※資本金額など一定の条件があります)。
軽減税率対策補助金は今年8月現在で約7万以上の事業者に交付されたとのことです。
メーカーによっては人気商品が欠品となっていて、納品までに時間がかかるケースも見受けられるようになってきました。
軽減税率対策補助金の補助事業の完了期限は2019年9月30日まで延長されていますが、補助金に限りもありますので、早目の対応をおすすめします。
●変更点(1) 配偶者控除の見直し
従来は所得者本人の所得金額に制限はなく、控除対象配偶者がいる場合は誰でも38万円(老人控除対象配偶者の場合48万円)の控除が受けられました。
しかし、改正後は、所得者本人の収入に応じて控除額が逓減する仕組みが加わり、本人給与収入が1,120万円(合計所得金額900万円)を超えた場合の控除額は次のようになります。
(1)給与収入1,120万円超1,170万円以下(所得金額900万円超950万円以下)の控除額26万円〈32万円〉
(2)給与収入1,170万円超1,220万円以下(所得金額950万円超1,000万円以下)の控除額13万円〈16万円〉
(3)給与収入1,220万円超(所得金額1,000万円超)の控除額0円
※〈 〉内は老人控除対象配偶者の控除額
●変更点(2) 配偶者特別控除の見直し
対象となる配偶者の所得金額が給与収入150万円以下(合計所得金額85万円以下)の場合、配偶者控除と同額の控除が受けられるよう見直されました。
また、適用範囲が拡大し、配偶者の合計所得金額が改正前の「38万円超76万円未満」から「38万円超123万円以下(給与収入103万円超201万円以下)」となりました。一方、配偶者控除と同様に、所得者本人の合計所得金額に応じて控除額が逓減する仕組みが加わっています。
●留意すべき事項
改正後の配偶者特別控除は適用区分が細分化され、複雑化しています。所得者本人と配偶者の所得金額を正確に把握しないと控除額の計算が行えませんので、配偶者特別控除申告書の記載に当たっては十分な確認が必要でしょう。また、配偶者特別控除を受けられる配偶者の所得金額要件が拡大しましたが、社会保険の被扶養者要件は変更されていませんので、被扶養者となるためには所得調整が必要です。
年次有給休暇は労働基準法で定められています。労働者の勤務期間に応じて年10日以上の有休が与えられます。(パートタイマーは週の労働日数での付与日数が決められている)来年4月より労働基準法の改正で中小企業も含めたすべての企業に年5日は必ず取るように企業に義務付けされます。
●働き方改革の一環で決定されました
年次有給休暇取得は原則働く側が自分で決められます(企業は繁忙期などの業務に支障の出る場合時季変更権はあります)が、会社に遠慮をする等気兼ねをして有休を取りません。厚生労働省調べでは日本の有給休暇取得率は5割を下回っており国は2020年までに7割取得の目標を掲げていますがその達成は難しい状況です。そこで企業側に年5日については本人の希望を聞いた上で取得させる日時を企業が指定し休ませる年休消化義務が課せられる事になりました。
●日本の有休取得率
先にも記載しましたが日本の有給休暇取得率はずっと50%前後です。世界30カ国の地域を対象とした旅行予約サイトの米エクスペディアの17年の調査ではドイツ、フランス、スペイン等の12カ国は有給休暇取得率が100%であると言う事です。祝日の日数や有給休暇を企業で計画取得させる等、制度の違いはありますが日本は連続休暇の取得日数は短いと言えるでしょう。日本ではこれまで企業側は労働者側から申し出をしない事を理由に「社員から申し出が無い」と言ってきましたが、これからは労働者に年5日は有給で休ませなければなりません。有給休暇取得日管理簿の作成も求められる見通しです。
●有給休暇を取らない理由と今後の対策
第一生命保険の調査で男女1400人に実施した調査では有給取得にためらいを「感じる」「やや感じる」と答えた人は6割超えでした。「職場の人に迷惑がかかる」「後で忙しくなる」男性では「昇給、査定への影響が心配」と言う人も多かったようです。
有休取得を進めるには取得状況を各職場で上司や同僚と共有し、社員が有休を消化できるよう業務量等の調整が必要でしょう。ローテーションのある職場ではその組み方にも工夫が必要とされます。過重労働を防止し休む時はしっかり休んでリフレッシュし、生産性を上げる事が大事でしょう。
●修繕費と資本的支出
国税局は「法人がその有する固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の価値を高め、又はその耐久性を増すこととなると認められる部分に対応する金額」を資本的支出と言っています。
ですからそうならなければ修繕費ということです。
しかしその判断は非常にあいまいかつ微妙で、その判断に迷う場合は結構あります。
国税当局もそのへんは認識しており、形式基準を公表しています。
その内容を整理し、迷った時の判断基準にしましょう。
第1次判定……支出金額が20万円未満か又はおおむね3年以内の周期で発生するかどうかで判定、該当すれば修繕費で処理します。
第2次判定……次に明らかに資本的支出になるもの、明らかに修繕費になるものがあれば、それぞれ資本的支出、修繕費で処理します。
第3次判定……第2次判定で処理した残額が、次のイ、ロのいずれかに該当すればその残額を修繕費で処理できます。
イ.60万円未満
ロ.修理・改良等を行った資産の前期末現在の取得価額(未償却の帳簿残高でなく買った時の価額)のおおむね10%相当額以下
第4次判定……第1次から第3次判定の基準でも判定できない場合には、その部分については「7:3基準」を適用して形式的に区分することも可能です。
この「7:3基準」とは、法人が継続して(1)その金額の30%相当額か、(2)その修理・改良等をした資産の前期末における取得価額の10%相当額の、いずれか少ない金額を修繕費とし、残額を資本的支出とする経理をしているときはこれを認めるとされています。
●請求は一括でなく詳細に
上記はいずれにせよ修繕費か資本的支出か判断できない場合です。
判断できない場合とは往々にして修理もしたけどついでに補強や機能のUPを図ったような場合で、請求が一括でどこまでが修理かわからないといった場合が多いのです。
そのため、修理と補強や機能UP部分が明確になるように請求書を記載してもらうことが肝心です。
●固定資産税にはプロがいない
お役所のやることだから間違いはないだろうと思いがちですが、結構間違いは多いのです。その原因は、対象不動産に対して圧倒的に評価人員が不足しているということです。東京都の場合、都内に土地は約221万筆、家屋は約160万戸あると言われています。これらを全て実地調査することは、不可能と言われています。また、都の職員は都税事務所に就職するのではなく東京都に就職し、職場のローテーションで固定資産税の現場に配属されますが、定年まで固定資産税係ということはなく2~3年で別の部署に配属されますので常に素人集団です。こういった傾向はどの自治体も同じです。
●まずは納税通知書を見直してください
固定資産税の納税通知書は読みにくいでしょうが、以下のことを確認してください。
(1)土地の所在・家屋の所在、家屋番号
自分のものか確認してください。
(2)登記地目・家屋の種類・用途、構造
現況と異なっていないか?
(3)地積・家屋面積
実際の面積と相違がないか?
ただし、実測をする場合はかなりの費用が掛かります。
(4)価額
住宅用地の場合、評価額と課税標準額は異なります。当然課税標準額の方が小さいはずです(ちなみに住宅用地の場合、住宅1戸につき200㎡までは1/6です)。
●おや?と思ったら
自治体の窓口に出向いて課税資料を請求してください。
土地なら「土地現況調査票」、家屋なら「再建築評点計算書」「基準年別計算書」(自治体により名称が異なる場合があります)が必ずあるはずです。
明らかにおかしい場合は、「審査申し出」を行ってください。しかし「審査申し出」は原則として3年に1回の基準年度の限られた期間ですので、窓口で「再調査」の依頼をしてみてください、自治体により対応していただける場合もあります。
●災害への寄付を募る動き
今年は、地震・大雨と災害が続いています。被害に遭われた方に心よりお見舞い申し上げます。災害が発生した際、盛んに各団体が寄付を募りますが、その中には「義援金」と「支援金」があるのをご存じでしょうか?
●義援金は被災者に渡される
義援金は、「義援金分配委員会」がとりまとめて、配分対象被災地の自治体へ送金されます。そこから被災された方々へ直接募金を渡すものとなります。
義援金の特徴としては、「自治体への寄付として扱われる」事です。個人が寄附をした場合は「ふるさと納税」の扱いとなりますので、寄付者の所得・控除によって定められている上限金額までの寄附であれば、自己負担を2,000円で済ます事ができます。いわば自分が将来納める税金を、被災地域の救済のための目的税として納める事ができるのです。
ただし、計算は「ふるさと納税」と同じ扱いになるため、別途ふるさと納税をしている場合は、合算した金額で上限金額を考える必要があります。
●支援金は支援団体への活動資金に
支援金は被災者の生活復旧や、避難生活の援助等、各団体が標榜している活動に使われる募金となります。組織が活動するにはどうしてもお金が必要ですし、被災者を助ける細やかな活動という面では、各団体への支援金募金は大きな力を発揮します。しかし支援金は「団体の活動費」になりますから、寄附した人は、適切に寄付金を使用しているかをチェックする必要があるかもしれません。
個人から公益法人や認定NPO法人への支援金の寄附は、寄附金税額控除が適用されるケースがあり、通常の寄附金控除と税額控除の選択適用ができます。
また、寄付先がお住まいの都道府県・市区町村の認定を受けている団体の場合は住民税の税額控除が受けられます。
義援金と支援金、どちらも被災者のために、という寄附の意義は変わりません。正しい知識と税の控除の仕組みを知って、効率的に支援を行えると良いですね。
●労働者派遣法の改正
平成27年の労働者派遣法の改正から平成30年9月30日で3年が経過します。
10月1日からは、派遣社員の処遇向上を目的として派遣社員の受け入れ期間の上限が3年と定められた、いわゆる「3年ルール」が適用されます。
※3年ルール…平成27年9月30日以降に労働者派遣契約を締結・更新した派遣労働者は、同じ事業所で3年を超えて働くことは基本的にできないというものです。
●雇用安定措置
同じ事業所の同じ「課」などに継続して3年派遣される見込みとなった場合は、派遣元事業主(派遣会社)は、次の(1)から(4)のいずれかの雇用安定措置を講じる必要があります。
(1)派遣先への直接雇用の依頼
(2)新たな派遣先の提供
(3)派遣元での派遣労働者以外としての無期雇用
(4)その他雇用の安定を図るための措置
●派遣先が留意すること
労働者(派遣社員)は派遣元事業主に対し、雇用安定措置の(1)~(4)のうち講じて欲しいものを希望することができます。
派遣元から派遣先に上記(1)の依頼があり、直接雇用に結びついた場合には、派遣先において税金や社会保険などの各種手続きが必要となります。
扶養控除等申告書の提出、マイナンバーの確認、年金手帳の確認や社会保険の加入手続きは速やかに実施することが必要です。
●消費税の取扱いにも注意
労働者が引き続き同じ組織(いわゆる「課」など)で同一業務に携わったとしても、派遣と直接雇用の労働者では消費税の取扱いが異なります。
派遣の時には人材派遣の対価ということで課税仕入れを行っていたものが、直接雇用では不課税取引の「給与」となります。
■ バックナンバー